花婿の裏方
ずっと刺繍をしていたら,辛くなってきました.
でも,今年はもっと辛い刺繍があったのを思い出しました.

6月の始めにハワイで挙式というお客様で,カップルでお店にいらっしゃったのでした.
花婿が「シルクのアロハに刺繍をして欲しい」というご要望でした.
花婿のお母様が経営されている(ハーブを扱う)会社のトレードマークを
アロハ全体に.アロハはオフホワイト.刺繍の色はダークグリーン.

いつものように,刺繍サンプルを確認していただいて,OKがでましたのでGO.
スケジュールが厳しかったので,両袖は外注に依頼しました.
私は左右前身頃と後ろ身頃,左右のカフスと,台衿(内側に会社のロゴ)の刺繍.

始めたものの,ほんとに終わらないのです.
トレードマークというのは花と葉を単純化したものの組み合わせなのですが,
サテンステッチで埋めていく刺繍.アロハシャツ全体は予想外にとても大きいのでした!
辛かった,,,,縫製の人に渡すタイムリミットが近づいてきます.
結局1週間かかって,最後の日は朝の4時まで....
(私,徹夜ってだめなんです,したことないんです.)
その朝に八王子の縫製の人の待つ場所まで届けて,セーフでしたけど.

あ~~,やっとできた.と思ったら,
今度は花嫁がその刺繍を見て,「私もベールに刺繍が欲しい」とおっしゃって,
その頃ヤワラちゃんの影響もあったのでしょう.ベールが周囲10メートル.
これも4日かかりました.
ハワイにお出かけになるギリギリでお渡しできました...
はぁ~,思い出すだけで疲れます.
もう今年の話のような気がしませんね.

男の方のこだわりはすごいですね!「花婿の裏方」は辛かったです.
# by artigana-g | 2004-12-04 16:47 | 職人 | Comments(4)
自分のための物
時間がちょっと空いたので,自分のための小物を作り始めてしまいました.
「紺屋の白袴」というか,なかなか自分の物を作る時間というのがありません.
1年に1回か2回.
始めてしまうと止まらなくなるので,,,,困ってしまいますが.
ま,いいですよ,たまには.

自分のための物,はかなり入れ込んで作ってしまいます.
自分で作ったものを人前で使うという事は(皆さん見ていますから)
デザイナーとしてアピールするチャンスなのです.
お客様のために作る場合は,上限なくいろいろな事はできないわけで
妥協しなくてはいけませんが,自分の場合は妥協する必要が全くない.
それに「色」が使える!のです.
これは結構重要な事で,いつも白っぽいものばかりを扱っていると
どうしても「色」というものに飢えてしまうのです.
それで予想以上にハマってしまう.

気合を入れて作ったものはかなり長い間使ったりします.
全く飽きずに使います.刺繍がぼろぼろになるまで.

刺繍糸だらけの裁断台.
かなり悩んだりして色を選んでいるところですが,
「たくさんの色がある光景」が好きだったりします.
# by artigana-g | 2004-12-03 17:03 | 職人 | Comments(4)
グラフィックソフト
集中して,刺繍の図案を描いていました.
納得いくまで消したり描いたり.この作業もかなり好き.ペンを握っているから?かな.

刺繍の図案は問題ないのですが,生地にプリントするような図案の場合,
たとえばモチーフが小さくてそれを版の中で均等に拡げていくようなとき,
モチーフは決まっていてそれを版の中でバランスよく配置するようなとき,
ストライプやボーダー柄を構成するようなとき,
「これはコンピューターの仕事だ」と思います.

自分はグラフィックソフトを使って図案を描いていないので,
効率の悪い仕事をしているナと思うことがたまにあります.

春に,専門学校の同窓会があり,卒業して以来初めて再会した友人の中に
Macでプリント図案を作っている,という人がいたのです.
是非見せて欲しくて,夏の頃,彼女のマンションに出かけていきました.

最新のMacを買ったそうで,大きなモニタも何ともカッコイイのです.
そこでいろいろな事をやって見せてくれました.
ふぅ~ん,なるほどなるほど...とてもおもしろそうでした.
すぐに「私もMacを買おう!」とは思いませんでしたが,
グラフィックソフトにはとても興味をもちました.

それでWindows用のグラフィックソフト(そんなに高くないものですが)を入れて
最初のうちはいろいろ触ってみたりしていたのですが,,,今は全く.


とにかく来年はグラフィックソフトで遊べるようになろう!と思ったのでした.
図案のお仕事はともかく.
# by artigana-g | 2004-12-02 20:40 | 日々 | Comments(0)
ペーパーアーキテクチャー
ペーパーアーキテクチャー_b0055196_1752657.jpg


先日,青山スパイラルビルで買いました.
MoMA(ニューヨーク近代美術館)のポップアップカード.
このカードを開いたり閉じたりすると,雪ダルマの腕が動いて,雪も動きます!
(雪が透明なフイルムの上に描かれています)色も形もとってもカワイイ.
売り場にはたくさんのポップアップカードがあり,私はその中から4種類買いました.

飛び出す絵本のような「ペーパーアーキテクチャー」がとても好きです.
1年ほど前から気になり始めて,渋谷パルコのロゴスで,いろいろ探しました.
絵本の棚の前にしゃがみながら,たくさんの本を開いたり閉じたりして,一人でフフフと
笑ってみたり.結局ちょっと恐い感じのする「不思議の国のアリス」を買いました.

どうやって作るんだろう?と隅々まで見てしまう.紙しかないのに動いているのです.
そのインテリな感じが好きで,強烈にひきつけられてしまうのです.

パーティ会場に,何か動くものがあるのもいいですよね.
ドレスはちょっと変かもしれませんが...動くもの作ってみたいです.
# by artigana-g | 2004-12-01 17:38 | デザイン | Comments(4)
凝った手仕事
昨日は商談で,2件のお店に伺いました.
どちらのデザイナーさんも,私の学校の先輩で,
パリのオートクチュールで働いた経験のある方たちです.(メゾンは別々ですが)

だから,というわけではないのかもしれませんが,おふたりとも
私には,手の込んだ工夫のあるものを要求されているように,常々思います.
(あっさりとできていると「らしくない」と言われてしまうのです.)

私がオートクチュールのテクニックなどを見るのは,
展覧会か,その技術をまとめたような本でしかないのですが,
ほんとに良くできていますよね!歴史でしょうか?誇りとか.
オートクチュールが高価なのは当然です.
たくさんの知恵とたくさんの時間で素晴らしいものが出来上がるのですから.

私もできるなら,たくさんの時間を使って思う存分すごいものを作ってみたい.
でも,それではお金がかかりすぎてしまいます.

この,金額の問題がなければ頭を悩ませることなく作れるのに.
手の込んだ,工夫のあるものを,どうやってお安くすればよいのでしょう?
どこまでやるか,,,,いつもの問題.

今作っているボンネ(髪飾り)も,なかなか凝ったことになっているのですが
お値段どーしましょう.
# by artigana-g | 2004-11-30 20:08 | 職人 | Comments(3)